2026年3月18日夜、高市早苗首相が、アメリカへの出発を前に首相公邸で取材に応じました。
日米首脳会談で主要議題の一つとなる中東情勢について、高市首相はこう述べました。
「何より重要なことは、事態の早期沈静化を図りエネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定に向けて取り組むことだ」
そして、こう強調しました。
「我が国の立場や考えを踏まえしっかり議論したい」
「我が国の立場や考え」。
この言葉は、何を意味するのでしょうか。
それは、憲法9条のことではないでしょうか。
今日、日米首脳会談が開催されます。トランプ大統領は、おそらくホルムズ海峡への艦船派遣を要請するでしょう。
高市首相は、どう答えるのでしょうか。
今日は、高市首相の発言と憲法9条について考えます。
高市首相の発言を読み解く
高市首相の発言を、もう少し詳しく見てみましょう。
まず、「事態の早期沈静化を図り」という部分。これは、軍事的な解決ではなく、外交的な解決を目指すという意味でしょう。
次に、「エネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定に向けて取り組む」という部分。これは、日本にとってホルムズ海峡が重要だということを認めつつ、平和的な手段で取り組むという姿勢を示しています。
そして、「我が国の立場や考えを踏まえしっかり議論したい」という部分。
この「我が国の立場や考え」とは、何でしょうか。
私は、これは憲法9条のことだと解釈します。
なぜなら、日本の立場を他国と区別する最大の要素は、憲法9条だからです。
日本は「武力の行使」を放棄しています。これは、世界でも稀な憲法上の制約です。
だからこそ、「我が国の立場」=憲法9条の制約と解釈すべきなのです。
艦船派遣への言及がない
注目すべきは、高市首相が艦船派遣について具体的に言及していないことです。
トランプ大統領は、明確に艦船派遣を要請しています。これは報道されており、高市首相も当然知っています。
しかし高市首相は、派遣するともしないとも言っていません。
これは何を意味するのでしょうか。
一つの解釈は、派遣を拒否する方向で調整している、というものです。だから、具体的な言及を避けたのかもしれません。
もう一つの解釈は、まだ決めていない、というものです。首脳会談でトランプ大統領と話し合ってから決める、というスタンスかもしれません。
いずれにせよ、明確に拒否するとは言っていないのです。
ドイツとの対比
昨日の【208日目】の記事で、ドイツがホルムズ海峡への艦船派遣を明確に拒否したことを書きました。
ドイツのピストリウス国防相は、「そうした行動を取るいかなる理由も見当たらない」と述べました。
メルツ首相は、「NATOは防衛同盟であって『介入同盟』ではない」と強調しました。
これは非常に明確な拒否です。
一方、高市首相の発言は、曖昧です。
「我が国の立場や考えを踏まえ」という言葉は、拒否とも受け入れとも取れます。
この違いは、何を意味するのでしょうか。
日本の外交スタイル
これは、日本の外交スタイルを反映しています。
日本は伝統的に、明確な拒否を避ける傾向があります。特に、アメリカに対しては。
なぜでしょうか。
それは、日米同盟への配慮です。アメリカの要請を明確に拒否すれば、日米関係に亀裂が生じるかもしれない。だから、曖昧な表現で逃げようとするのです。
しかしこれは、問題を先送りするだけです。
トランプ大統領は、明確な答えを求めてくるでしょう。「イエスかノーか」と。
そのとき、高市首相はどう答えるのでしょうか。
エネルギー安全保障と武力行使は別
高市首相は「エネルギー安全保障」を強調しました。
確かに、ホルムズ海峡は日本のエネルギー安全保障にとって重要です。日本が輸入する原油の約9割が、この海峡を通過します。
しかし、エネルギー安全保障のために武力を行使することは、憲法9条で禁じられています。
憲法9条は、「武力の行使」を放棄しています。この「武力の行使」には、例外はありません。
「エネルギー安全保障のため」という理由で武力を行使できるなら、「経済安全保障のため」「食料安全保障のため」と、どんな理由でも武力を行使できることになります。
これでは、憲法9条は意味を失います。
エネルギー安全保障は重要です。しかし、それは外交的手段で確保すべきです。武力ではありません。
「早期沈静化」という言葉の意味
高市首相は「事態の早期沈静化を図り」と述べました。
これは重要な言葉です。
「沈静化」とは、戦闘を止めることです。つまり、軍事的な解決ではなく、外交的な解決を目指すという意味です。
もし日本が艦船を派遣すれば、それは戦闘に加担することになります。「沈静化」ではなく、「激化」です。
だからこそ、艦船派遣は「早期沈静化」という目標と矛盾するのです。
この論理を、高市首相はトランプ大統領に説明すべきです。
憲法9条を理由に拒否すべき
一昨日の【207日目】の記事で、トランプ大統領が日本にホルムズ海峡への艦船派遣を要請していることを書きました。
そして昨日の【208日目】の記事で、ドイツがこれを明確に拒否したことを書きました。
ドイツでさえ拒否したのです。憲法9条を持つ日本なら、もっと堂々と拒否できるはずです。
高市首相は、トランプ大統領にこう言うべきです。
「日本には憲法9条があります。武力の行使は禁じられています。だから、艦船を派遣することはできません。これが『我が国の立場』です」
これが、最も明確で、最も説得力のある答えです。
なぜなら、憲法は最高法規だからです。首相でさえ、憲法を破ることはできません。
トランプ大統領も、これは理解せざるを得ないでしょう。
曖昧な表現の危険性
しかし、もし高市首相が曖昧な表現で逃げようとすれば、危険です。
トランプ大統領は、曖昧さを受け入れない人です。「イエスかノーか」を迫ってくるでしょう。
そのとき、押し切られる可能性があります。
「じゃあ、機雷掃海だけでもいいから」
「戦闘終結後なら派遣できるだろう」
こうした譲歩案を出されたとき、「それならできます」と答えてしまうかもしれません。
しかしこれは、危険な第一歩です。
一度譲歩すれば、次も、その次も、譲歩を求められます。そして最終的には、憲法9条は形骸化します。
だからこそ、最初から明確に拒否すべきなのです。
国会での議論は
もし高市首相が、首脳会談で何らかの約束をしてしまったら、どうなるでしょうか。
帰国後、国会で追及されるでしょう。
「艦船派遣を約束したのですか」
「それは憲法9条に違反しませんか」
しかし、一週間前の【204日目】の記事で書いたように、2026年度予算は過去最短の審議時間で衆院を通過しました。
与党は、十分な審議をせずに強行採決する傾向があります。
ホルムズ海峡への艦船派遣についても、同じことが起きるかもしれません。
十分な議論もなく、「アメリカとの約束だから」という理由で、派遣が決定されるかもしれないのです。
これは、民主主義の危機です。
今日の首脳会談を注視する
明日、日本時間20日未明に、日米首脳会談が開催されます。
この会談で、日本の運命が決まるかもしれません。
高市首相が憲法9条を守るのか、それとも破るのか。
私たちは、注視する必要があります。
そして、結果を見て、判断する必要があります。
もし高市首相が派遣を約束してしまったら、声を上げる必要があります。
「憲法9条違反です」
「国会で十分に議論してください」
「国民の声を聞いてください」
私たちにできること
私たちにできることは何でしょうか。
まず、今日の首脳会談の結果を確認することです。高市首相が何を約束したのか、しなかったのか。
次に、声を上げることです。SNSで発信すること。国会議員に意見を伝えること。デモに参加すること。
そして、憲法9条の意味を再確認することです。
憲法9条は、「武力の行使」を放棄しています。この原則に、例外はありません。
「エネルギー安全保障のため」という理由も、例外にはなりません。
「アメリカの要請だから」という理由も、例外にはなりません。
憲法9条は、絶対的な原則です。
そして、憲法第99条は、首相を含むすべての公務員に、憲法を擁護する義務を課しています。
高市首相には、憲法9条を守る義務があるのです。
「我が国の立場」を明確に
高市首相は「我が国の立場や考えを踏まえしっかり議論したい」と述べました。
その「立場」を、明確に示してほしいのです。
「我が国の立場」=憲法9条。
この立場を、トランプ大統領に堂々と説明してほしいのです。
ドイツは「我々が始めた戦争ではない」と言いました。
日本は「憲法9条があるから武力の行使はできない」と言うべきです。
これが、主権国家としての堂々とした態度です。
そして、平和国家・日本の誇りです。
今日の首脳会談で、高市首相がどのような答えを出すのか。
私たちは、見守っています。
【参考】
FNNプライムオンライン「高市首相まもなく出発 中東の平和と安定に向け『我が国の立場や考えを踏まえしっかり議論したい』と初訪米の抱負語る」