けんぽう~3つの約束~

国民主権・基本的人権・平和主義――憲法の3つの約束を、わかりやすい言葉で解説します。憲法の大切さを一緒に考えてみませんか?

【71日目】 学校いじめ「過去最多」をどう読むか――13条の物差しで“見える化”と検証を進める

文部科学省の最新調査で、学校のいじめ認知件数が76万9,022件過去最多、深刻な被害に当たる「重大事態」も1,405件で最多となりました。朝日新聞は、重大事態の「再調査」が約1.5倍に増えたとも伝えています。深刻な状況ですね。しかし同時に、見つけて数え、検証する動きが進んでいるサインでもあります。今日は13条=個人の尊重14条=平等26条=教育を受ける権利、そしてSNSに関わる21条=表現の自由の観点から、何をすべきかを整理します。

1|「数」が増えたのは何を意味する?(見取りの精緻化とネットいじめ)

今回の増加には、積極的な認知(早期発見)や、1人1台端末・アンケート等による“見える化”が影響しています。SNS上のいじめが拾われやすくなったことも背景です。これは、隠れていた被害を掘り起こせているというプラス面でもあります。大切なのは、数字を「学校の失点」と捉えて隠すことではなく、見つけたら早く支える原因を究明して解決するという姿勢です。

2|13条・14条・26条――憲法が示す“最優先”は何か

13条個人の尊重を最も大切な価値として構成されています。他の条文は、13条を具体化するための手段なのです。いじめは個人の尊厳を直接損なう行為であり、学校は安全配慮義務を最優先に果たさねばなりません。14条は属性による差別を否定します。「からかい」「ネタ」でも、出自・言語・障害・性別・性的指向・信条などに基づく攻撃は差別・ハラスメントであり、明確に止める必要があります。26条は教育を受ける権利。いじめで教室に居づらくなる状態は、実質的に教育権が侵害されます。だから、学びの回復(別室・オンライン等の選択肢)は“特別扱い”ではなく、権利保障の一部なのです。

3|SNS時代のいじめと21条(表現の自由)

誹謗中傷のスクショ拡散・晒し上げ・なりすまし――オンライン空間の攻撃は長期・広域にわたり、教室外でも被害が続くのが特徴です。21条は表現の自由を守りますが、他者の権利を侵害する行為は自由の範囲外。学校・教育委員会は、私的端末で起きても、教育の安全を脅かす行為には指導と連携で向き合う必要があります(警察・法務局・SNS事業者とのホットライン等)。

4|「重大事態」増加と“再調査1.5倍”が示す課題――検証と救済を強化する

重大事態の増加は深刻ですが、再調査の増加は、初動や調査の質に課題があり、後からやり直している現実も示します。ここは憲法の公開・説明責任の視点が効きます。

  • 初動の迅速化:「疑い段階」でも安全確保を先行(保護者・当事者への即時連絡、隔離・見守り、臨床心理の介入)。
  • 独立性ある検証:学校内で閉じず、第三者を含む外部委員会で事実認定・原因分析・再発防止。
  • 救済の実効性:学級・座席・部活動の変更、加害行為の指導計画、医療・心理支援、学習保障(別室・分散登校・オンライン)をセットで提示
  • 情報公開:個人情報に配慮しつつ、方針・手順・結果・再発防止策を学校サイト等で公表し、検証可能に。

5|学校・保護者・同級生が“今すぐできる”3つの行動

  • ① 早期シグナルの一本化:朝の体調・気分チェック、匿名相談、スクールカウンセラー直通を1枚の導線に。
  • ② デジタル・コード:クラスでSNS行動規範を合意(深夜連投しない/晒さない/既読圧を作らない)。違反時の具体的対応フローを掲示。
  • ③ 学びの回復:別室・オンライン・登校時間の弾力化を「逃げ」ではなく権利の選択肢として明文化。

まとめ――“数える勇気”を“支える仕組み”へ

過去最多という現実は重い。けれど、見つけて数えたからこそ、守れる命がある。13条は「一人を最大限に尊重せよ」と言います。数える勇気を、支える仕組みに変える。学校・家庭・地域・行政が役割を分担し、迅速・独立・公開の3原則で、いじめの連鎖を断ち切りましょう。

次回予告

明日も、最新のニュースを素材に憲法の視点で読み解きます。暮らしに引き寄せて一緒に考えていきましょう。

参考URL

朝日新聞:「学校でのいじめ過去最多 『重大事態』も 再調査は1.5倍に」(2025/10/29)
文部科学省:令和6年度「児童生徒の問題行動・不登校等」調査(結果・概要)
テレビ朝日:「不登校・いじめ 過去最多」要点まとめ
文科省通知:「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(改訂)」